
GPSのしくみをやさしく解説|衛星の電波で"今どこ"がわかる理由
2026-09-29 ・ 入門
スマホの地図が「今ここ」を示せるのは GPS のおかげ。宇宙の衛星が、どうやって地上のあなたの位置を教えてくれるのでしょう? この記事ではGPSのしくみを、たとえを使ってやさしく解説します。
基本は「電波が届く時間」
GPS衛星は「今、何時何分何秒」という正確な時刻信号を、常に電波で送っています。受信機は電波が届くまでにかかった時間から、衛星までの距離を計算します。電波は光速なので、時間×光速=距離です。
時間差から位置を割り出す
衛星が時刻を送信
正確な信号
届く時間を測る
距離に換算
複数衛星で交点
位置が決まる
なぜ複数の衛星が必要か
1機だけだと「衛星から◯km」という球面上のどこか、としかわかりません。複数の衛星からの距離を重ねると、その交点として位置が絞り込まれます。
なぜ最低4機?
位置は緯度・経度・高度の3つ=3機で決まりそうですが、実は受信機の時計のズレという4つ目の未知数があります。正確な原子時計は衛星には積めても受信機(スマホ)には積めない。だから4機目の情報で時計のズレも同時に解く——これが「4機必要」の理由です。
誤差はなぜ出る?
電波は『まっすぐ・一定』ではない
GPSの誤差は主に、電波が大気(電離層・対流圏)を通るときに少し遅れること、ビルに反射して回り道すること(マルチパス)などで生じます。だから街中では数m〜十数mずれることも。補正情報を使う技術(RTKなど)では、誤差を数cmまで縮められます。
GPSだけじゃない
今は米国のGPSに加え、日本の「みちびき」、欧州のGalileo、ロシアのGLONASS、中国のBeiDouなど複数の測位システムがあり、スマホはこれらを組み合わせて精度を上げています。総称してGNSSと呼びます。
まとめ
- GPSは衛星の時刻信号が届く時間から距離を測る
- 複数衛星からの距離の交点として位置が決まる
- 受信機の時計ズレも解くため最低4機が必要
- 大気や反射で誤差が出る。複数システム併用で精度向上
もう少し詳しく(背景)
GPSの本質は、複数の衛星からの「距離」を測って交点を求めるしくみです。各衛星は「今何時か」と「自分がどこにいるか」を電波で送り続けており、受信機は電波が届くまでの時間差から衛星までの距離を計算します1。ここで驚くのが、正確さの鍵が時間にあること。電波は1秒で約30万km進むので、たった100万分の1秒の時計のズレが約300mの誤差になります。だから衛星には超高精度の原子時計が積まれ、さらに相対性理論の効果——高速で動き、重力の弱い上空にある衛星の時計は地上とわずかにズレる——まで補正しています2。この補正を怠ると、GPSは1日で約10kmもずれてしまいます。日常の地図アプリの裏で、アインシュタインの理論が実際に使われているわけです。今はGPS(米)だけでなく日本の「みちびき」など複数の測位システムを組み合わせ、精度を高めています。
次の一歩
衛星の用途は衛星の使い道、電波のずれはドップラーシフト、衛星の基礎は衛星の基礎へどうぞ。